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計器飛行・計器航法による飛行・計器飛行方式の違い

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「計器」と付く飛ばし方は実は3つあり、訓練初期の段階ではそれらの違いを理解するのに手こずりますよね。

今回は計器飛行・計器航法による飛行・計器飛行方式の3つの違いをそれぞれ解説します。

目次

計器飛行

計器飛行とは?と聞かれたら以下のように説明することができます。

計器飛行とは?

航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器のみに依存して行う飛行。

これ以上でも以下でもありません。航空法の定義もそうなっています。

定義

航空法第二条16

この法律において「計器飛行」とは、航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行をいう

航空法

通常航空機を操縦するときは、外を見て姿勢や高度を判断します。また位置や進むべき針路も外の景色や目標物を見て判断するのが基本的な飛ばし方です。

それとは対照的に機体の状況を計器の情報のみで判断し、航空機を飛ばす方法を「計器飛行」といいます。

後述する「計器飛行方式」での運航中に雲で外が見えない時などを想定しています。

ちなみに外を見て位置や針路が分かる状況にも関わらず、計器飛行や計器航法による飛行をすることは航空法で禁止されています。

(計器飛行及び計器航法による飛行)

第九十三条 航空機は、地上物標を利用してその位置及び針路を知ることができるときは、計器飛行又は計器航法による飛行を行なつてはならない。

航空法

計器飛行に必要な装置

計器飛行をするためには航空法および航空法施行規則で定められた装備品が航空機に備え付けられていなければなりません。

どんな航空機も計器飛行ができると言うわけではないんですね。

(航空機の航行の安全を確保するための装置)

航空法第六十条 

国土交通省令で定める航空機には、国土交通省令で定めるところにより航空機の姿勢、高度、位置又は針路を測定するための装置、無線電話その他の航空機の航行の安全を確保するために必要な装置を装備しなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

航空法施行規則第百四十五条 

法第六十条の規定により、計器飛行等を行う航空機に装備しなければならない装置は、次の表の飛行の区分に応じ、それぞれ、同表の装置の欄に掲げる装置であつて、同表の数量の欄に掲げる数量以上のものとする。ただし、航空機のあらゆる姿勢を指示することができるジャイロ式姿勢指示器を装備している航空機にあつてはジャイロ式旋回計、自衛隊の使用する航空機のうち国土交通大臣が指定する型式のものにあつては外気温度計、航空運送事業の用に供する最大離陸重量が五千七百キログラムを超える飛行機(同表の規定によりVOR受信装置を装備しなければならないこととされるものに限る。)以外の航空機にあつては機上DME装置は、装備しなくてもよいものとする。

航空法
計器飛行に必要な装置
  • ジャイロ式姿勢指示器★
  • ジャイロ式方向指示器
  • ジャイロ式旋回計
  • すべり計
  • 精密高度計★
  • 昇降計
  • ピトー管凍結防止装置付速度計★
  • 外気温度計
  • 秒刻み時計
  • 機上DME装置
  • 次に掲げる装置のうち、その飛行中常時、NDB、VOR、タカン又は測位衛星からの電波を受信することが可能となるもの★
    イ 方向探知機
    ロ VOR受信装置
    ハ 機上タカン装置
    ニ 衛星航法装置
    (NDBからの電波の受信により飛行する場合にイに掲げる装置に代わる装置として装備するものに限る。)

※全ての装置が1つずつ必要。ただし、航空運送事業の用に供する最大離陸重量が5700kgを超える飛行機は★がついている装置は2つ必要。

計器飛行は計器のみに依存して飛ぶので十分な装置が装備されていることが要求されています。

計器航法による飛行

「計器航法による飛行」とはどう言う意味なのでしょうか?

最初の方はあまり聞き慣れないかと思います。

計器航法による飛行とは?

計器飛行以外の航空機の位置および針路の測定を計器のみに依存して行う飛行。

計器飛行と違うのは「姿勢」と「高度」の測定は外を見ても判断できる状態であることです。

具体的な例としては洋上や雲上での飛行が挙げられます。

どれだけ天気が良くても周り一面が海では自分の位置や針路は外を見ただけでは分かりません。

しかし姿勢や高度は外を見ても判断することができますよね。

これが「計器航法による飛行」です。

航空法では後述する「計器飛行証明」のところにこの用語が載っています。

(計器飛行証明及び操縦教育証明)

第三十四条 定期運送用操縦士若しくは准定期運送用操縦士の資格についての技能証明(当該技能証明について限定をされた航空機の種類が国土交通省令で定める航空機の種類であるものに限る。)又は事業用操縦士若しくは自家用操縦士の資格についての技能証明を有する者は、その使用する航空機の種類に係る次に掲げる飛行(以下「計器飛行等」という。)の技能について国土交通大臣の行う計器飛行証明を受けていなければ、計器飛行等を行つてはならない。

 計器飛行

 計器飛行以外の航空機の位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行(以下「計器航法による飛行」という。)で国土交通省令で定める距離又は時間を超えて行うもの

 計器飛行方式による飛行

航空法

計器航法による飛行に必要な装置

計器航法による飛行についても必要な装置が定められています。

計器航法による飛行に必要な装置
  • 外気温度計
  • 秒刻み時計
  • 機上DME装置
  • 次に掲げる装置のうち、その飛行中常時、NDB、VOR、タカン又は測位衛星からの電波を受信することが可能となるもの★
    イ 方向探知機
    ロ VOR受信装置
    ハ 機上タカン装置
    ニ 衛星航法装置
    (NDBからの電波の受信により飛行する場合にイに掲げる装置に代わる装置として装備するものに限る。)

※全ての装置が1つずつ必要。ただし、航空運送事業の用に供する最大離陸重量が5700kgを超える飛行機は★がついている装置は2つ必要。

計器飛行に比べると必要な装置はかなり少なくなりますね。

姿勢と高度については外を見て測定できることを想定しているので当然です。

計器飛行方式

計器飛行方式は有視界飛行方式などと同様に航空機の運航の仕方のひとつです。

こちらの記事でも解説していますのであわせて読んでみてくださいね。

計器飛行方式の説明に関しては航空法の定義を見てもよくわからないので、分かりやすく言うと、

計器飛行方式とは?

計器飛行方式とは気象状態に関わらず、出発から到着までの全行程を国土交通大臣(管制官)の承認又は指示された高度や飛行経路等に従って飛行する方式。

一応航空法の定義も載せておきますね。

定義

航空法第二条17 この法律において「計器飛行方式」とは、次に掲げる飛行の方式をいう。

 第十三項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通管制圏又は航空交通管制区において、国土交通大臣が定める経路又は第九十六条第一項の規定により国土交通大臣が与える指示による経路により、かつ、その他の飛行の方法について同項の規定により国土交通大臣が与える指示に常時従つて行う飛行の方式

 第十四項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通情報圏(航空交通管制区である部分を除く。)において、国土交通大臣が定める経路により、かつ、第九十六条の二第一項の規定により国土交通大臣が提供する情報を常時聴取して行う飛行の方式

 第一号に規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を第九十六条第一項の規定により国土交通大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従つて行う飛行の方式

航空法

「計器飛行」とついていますが計器のみに依存して飛ばすわけではありません。

外が見える時はもちろん外を見て飛ばします。

計器飛行方式は離陸から着陸までの常時、地上の管制官がレーダーを使って監視しパイロットは管制官の指示に従って飛行します。

したがって計器飛行方式では天気が悪くて外が見えない状況でも飛行できるのです。そしてその時には一時的に「計器飛行」を行うこともありますし、洋上や雲上を飛んでいるときは「計器航法」で飛んでいます。

逆に計器飛行方式であっても、常時外が見えるような状況では「計器飛行」を行うことはありません。

「計器飛行」や「計器航法による飛行」は航空機の飛ばし方の一つなのに対して、「計器飛行方式」は航空機の運航方法の一つと言えます。

計器飛行方式に必要な装置

計器飛行方式にも必要な装置が定められています。

計器飛行方式に必要な装置
  • ジャイロ式姿勢指示器★
  • ジャイロ式方向指示器
  • ジャイロ式旋回計
  • すべり計
  • 精密高度計★
  • 昇降計
  • ピトー管凍結防止装置付速度計★
  • 外気温度計
  • 秒刻み時計
  • 機上DME装置
  • 次に掲げる装置のうち、その飛行に係る飛行の経路に応じ、当該飛行の経路を構成するNDB、VOR、タカン又は測位衛星からの電波を受信するためのもの★
    イ 方向探知機
    ロ VOR受信装置
    ハ 機上タカン装置
    ニ 衛星航法装置
    (NDBからの電波の受信により飛行する場合にイに掲げる装置に代わる装置として装備するものに限る。)

※全ての装置が1つずつ必要。ただし、航空運送事業の用に供する最大離陸重量が5700kgを超える飛行機は★がついている装置は2つ必要。

計器飛行に必要な装置とほとんど同じですが、⑪の言い回しだけが少し違います。

計器飛行は「飛行中常時…」であるのに対して、計器飛行方式は「飛行に関わる経路に応じ…」となっています。

計器飛行は計器のみに依存して飛行するので、針路を示すための装置が常時電波を受信している必要があります。

しかし計器飛行方式はそうではないので「常時」受信することができる必要はないんです。

計器飛行証明(資格の話)

計器飛行・計器航法による飛行・計器飛行方式の違いがわかったところで、パイロットの技能証明について確認しましょう。

計器航法による飛行の所でも少し触れましたが、日本には「計器飛行証明」という資格があり、これまでお話ししてきた飛行をするために必要な資格です。

(計器飛行証明及び操縦教育証明)

航空法第三十四条 

定期運送用操縦士若しくは准定期運送用操縦士の資格についての技能証明(当該技能証明について限定をされた航空機の種類が国土交通省令で定める航空機の種類であるものに限る。)又は事業用操縦士若しくは自家用操縦士の資格についての技能証明を有する者は、その使用する航空機の種類に係る次に掲げる飛行(以下「計器飛行等」という。)の技能について国土交通大臣の行う計器飛行証明を受けていなければ、計器飛行等を行つてはならない。

 計器飛行

 計器飛行以外の航空機の位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行(以下「計器航法による飛行」という。)で国土交通省令で定める距離又は時間を超えて行うもの

 計器飛行方式による飛行

(計器航法による飛行の距離及び時間)

航空法施行規則第六十六条 

法第三十四条第一項第二号の国土交通省令で定める距離は百十キロメートルとし、同号の国土交通省令で定める時間は三十分とする。(計器航法による飛行)

航空法、航空法施行規則

一見すると全てにおいて計器飛行証明が必要に見えますが、「計器航法による飛行」に関しては少し複雑です。

計器航法による飛行が110km(60NM)又は30分を超えないのであれば計器飛行証明は必要ありません。

なので計器飛行証明を持っていないパイロットが、有視界飛行方式で雲上を飛び計器航法による飛行を行うことができます。

位置および針路の測定を計器のみに依存している間が「計器航法による飛行」です。

例えば雲上を飛んでいたとして自分の位置が計器でしか分からない状況でも、遠くに富士山が見えて自分の針路が分かってしまえばその時点で「計器航法による飛行」ではなくなります。

まとめ

計器飛行

計器飛行とは、航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器のみに依存して行う飛行。

・雲中飛行などを想定

・航空機の飛ばし方の一つ

・計器飛行証明が必要

計器航法による飛行

計器航法による飛行とは、計器飛行以外の航空機の位置および針路の測定を計器のみに依存して行う飛行。

・洋上や雲上などの飛行を想定

・航空機の飛ばし方の一つ

・110km(60NM)または30分を超える場合は計器飛行証明が必要

計器飛行方式

計器飛行方式とは、気象状態に関わらず、出発から到着までの全行程を国土交通大臣(管制官)の承認又は指示された高度や飛行経路等に従って飛行する方式。

・航空機の運航方法の一つ

・計器飛行証明が必要

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