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特別管制空域(Positive Control Area)とは

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今回の記事ではVFRによる飛行が、原則禁止されている「特別管制空域」について解説していきます。

VFR機にはあまり馴染みのない空域ですが、誤って入ってしまうと大変なことになるのでVFR機のパイロットもしっかりとこの空域について理解しておく必要があります。

目次

特別管制空域とは?

特別管制空域(PCA:Positive Control Area)とは、航空交通が輻輳する空域で管制機関から許可された場合を除き、VFRでの飛行が禁止されています。

PCAは主に計器進入を行うIFR機のために、交通量の多い空港や飛行場の最終進入コース上に設定されています。

飛行機の着陸は基本的にパス角3°で滑走路に進入していくので、空港からは離れた場所から着陸のために高度を低くしていく必要があります。

その際に同じような高度帯を飛行するVFR機が、着陸機の進入経路上を自由にと飛んでいるとIFR機の運航に支障が出てしまうのでPCAを設定してVFR機が自由に飛行できないようにしています。

PCAの下限高度は低いもので700ftからのところもあり、VFR機は誤ってPCAに進入しないように注意しなければなりません。

PCAについては航空法ではどのようになっているのか見ていきましょう。

(計器飛行方式による飛行)

第九十四条の二 航空機は、航空交通管制区若しくは航空交通管制圏のうち国土交通大臣が告示で指定する空域(以下「特別管制空域」という。)又は国土交通省令で定める高さ以上の空域においては、計器飛行方式によらなければ飛行してはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

 国土交通大臣は、特別管制空域ごとに、前項の規定による規制が適用される時間を告示で指定することができる。

航空法

航空法にもある通り、PCA内のVFR機の飛行は原則禁止されています。

しかし、絶対PCAには入れないという訳ではなく、許可を受ければ飛行することが可能です。

日本の特別管制空域
出典:国土交通省

特別管制空域の3つの区分

特別管制空域(PCA)は、特別管制空域A・特別管制空域B・特別管制空域Cの3つの区分に分かれています。

アルファベットは空域のクラス分けを表しています。

特別管制空域AがVFR機の飛行を最も厳しく制限しており、その次がB、そしてCです。

つまりAが最も交通量の多い空域と言えます。

区分ごとに空域の性質や管制間隔の取り方、許可の基準が少しづつ違うので確認していきましょう。

それぞれの内容については航空法施行規則第198条の5に記載されています。

特別管制空域A(現在日本には無い)

特別管制空域A

管制区または管制圏のうち、航空交通の安全の確保のためVFRによる飛行を禁止することが最も必要と認められる空域

最も航空交通が輻輳している空域なのでVFR機が入り込める間も無いと思います。

VFR機の許可基準

特別管制空域AでのVFR機に対する飛行の許可は「予測することができない急激な天候の悪化その他やむを得ない事由がある場合」に限って出されます。

特別管制空域B

特別管制空域B

管制区又は管制圏のうち、特別管制空域A以外の航空交通が輻輳する空域であって、管制業務を行う機関がPCA内の全ての航空機との間に安全な間隔を確保するための指示が必要と認められる空域

日本においては「那覇」のみがこの特別管制空域Bに該当します。

したがって那覇周辺は日本で唯一のClassB空域になります。

那覇空港は民間の民間の旅客機だけではなく、陸・海・空のそれぞれの自衛隊の基地にもなっています。

それに加えて、沖縄県には普天間飛行場や嘉手納飛行場などのアメリカ軍の基地があり、周辺は大変混雑しています。

ClassBの空域では全ての航空機との間に安全な間隔を確保するので、VFR機もIFR機と同じような扱いを受けます。

したがってVFR機同士であっても、ClassB内ではIFR機と同じような間隔が確保されます。

VFR機の許可基準

特別管制空域Bでは
予測することができない急激な天候の悪化その他やむを得ない事由がある場合
又は
PCA内のIFR機の円滑な航行を阻害するおそれがなくかつ、PCA内の全ての航空機との間に安全な間隔を確保することが可能であると国土交通大臣(航空交通管制官)が認める場合
に許可が出されます。

あくまでIFR機が最優先で、なおかつVFR機同士にも安全な間隔が確保できる場合はVFR機も特別管制空域Bの中を飛行可能です。

特別管制空域C

特別管制空域C

管制区又は管制圏のうち特別管制空域A、B以外のIFR機が輻輳する空域であって、管制業務を行う機関がPCA内のIFR機との間に安全な間隔を確保するための指示が必要と認められる場合。

那覇以外のものは全て特別管制空域Cに該当します。

千歳・三沢・仙台・成田・東京・名古屋・中部・関西・大阪(伊丹)・神戸・高松・福岡・宮崎・鹿児島にそれぞれClassCのPCAが設定されています。

ClassCではIFR機との間に安全な間隔を確保するように管制されますが、VFR機同士はされません。

通常と同じようにパイロットの責任で他のVFR機との間隔を設定します。

VFR機の許可基準

特別管制空域Cでは
予測することができない急激な天候の悪化その他やむを得ない事由がある場合
又は
PCA内のIFR機の円滑な航行を阻害するおそれがなくかつ、PCA内のIFR機との間に安全な間隔を確保することが可能であると国土交通大臣(航空交通管制官)が認める場合
に許可が出されます。

VFR機が許可を得てPCAを飛行する場合

管制機関からPCAでの飛行が許可された場合は、VFR機は次の基準にしたがって飛行しなければなりません。

■VMCを維持して飛行
■当該空域の管制業務を行う機関と常時連絡を保つ
■モードCのトランスポンダーを装備

根拠となる航空法施行規則は以下のとおりです。

航空法施行規則第百四十六条 

法第六十条の規定により、管制区、管制圏、情報圏又は民間訓練試験空域を航行する航空機に装備しなければならない装置は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ、当該各号に掲げる装置であつて、当該各号に掲げる数量以上のものとする。

 管制区又は管制圏を航行する場合 いかなるときにおいても航空交通管制機関と連絡することができる無線電話 一(航空運送事業の用に供する最大離陸重量が五千七百キログラムを超える飛行機にあつては、二)

 管制区又は管制圏のうち、計器飛行方式又は有視界飛行方式の別に国土交通大臣が告示で指定する空域を当該空域の指定に係る飛行の方式により飛行する場合 四千九十六以上の応答符号を有し、かつ、モードAの質問電波又はモード三の質問電波に対して航空機の識別記号を応答する機能及びモードCの質問電波に対して航空機の高度を応答する機能を有する航空交通管制用自動応答装置 一

(法第九十四条の二第一項ただし書の規定による許可を受けた場合の飛行の方法)

航空法施行規則第百九十八条の八 

航空機は、法第九十四条の二第一項ただし書の規定による許可を受けたときは、次の各号に掲げる基準に従つて飛行しなければならない。

 有視界気象状態を維持して飛行すること。

 当該空域の管制業務を行う機関と常時連絡を保つこと。ただし、自衛隊の使用する航空機がその任務の遂行上やむを得ないと国土交通大臣が認める飛行を行う場合は、この限りでない。

航空法施行規則

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