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地面効果 Ground Effect【ヘリコプターの空力】

出典:AERONAUTICS GUIDE
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ヘリコプターを操縦する上で【地面効果】への理解は必要不可欠なものです。

この記事では、

  • 地面効果とは?
  • IGEとOGE
  • 地面効果の影響

を解説していきます。

ヘリコプターの空力の基本である地面効果を学んでヘリコプターへの理解を深めましょう!

目次

地面効果とは?

地面効果は英語で「Ground Effect」です。そのままですね。

地面効果とは?

ヘリコプターが地面付近でホバリングした時に、地面によって誘導速度が減少することでメインローターの揚力が増え、少ないピッチ角とエンジンパワーでホバリングが出来るようになる。

地面効果が現れるかどうかはヘリコプターのホバリング高度によって決まります。

一般的にメインローターの直径に相当する高さまでのホバリング時に地面効果が現れます。

顕著な効果が現れるのはメインローターの半径以下の高度と言われています。

地面効果が現れる範囲内のことを「IGE:In Ground Effect(地面効果内)」、地面効果が現れない範囲を「OGE:Out of Ground Effect(地面効果外)」と言います。

よく「IGEホバ」とか「OGEホバ」とか言ったりしますね。

IGEとOGE

先ほど出てきたIGE(地面効果内)とOGE(地面効果外)についてそれぞれ解説します。

IGE(地面効果内)

IGE(地面効果内)
出典:Helicopter Flying Handbook

図は地面効果内でのホバリング中の誘導流とピッチ角、迎角の様子です。

メインローターから発生したダウンウォッシュは地面によって横方向へ流れていっているのが分かります。

この横方向の流れによって下向きの成分(誘導速度)が減少し、翼端渦も小さくなっています。

下のOGEの図よりも誘導速度とダウンウォッシュ速度が少ないですよね。

下向きの誘導速度が減るということは迎角が増えるのでピッチ角が同じであれば揚力は増加します。

パイロットとしては、自分がホバリングしたい高度を保つだけなので「地面効果で上昇したから少し下げよう」とか思いながらやっている人は少ないと思います。

しかし、機体が今IGEなのかOGEなのかは考えて操作しています。

OGE(地面効果外)

OGE(地面効果外)
出典:Helicopter Flying Handbook

メインローターの直径以上の高度になると地面効果は得られなくなり、ヘリコプターはOGE状態になります。

上のIGEと見比べてみると、ダウンウォッシュは遮るものがないのでほぼ真下に流れています。

その流れによって翼端渦の下向きの成分も強くなるので大きな翼端渦になります。

下向きの誘導速度が増えるため有効な迎角が減り、結果的に揚力が減ります。

従って同じ揚力を発生させるためには、IGEの時よりもコレクティブを使ってピッチ角を増やす必要があります。

地面効果の影響

地面効果は実際にどれくらいの影響があるのでしょうか。

飛行規程のチャートを見ながら確認していきましょう。

少ないパワーでホバリングができる

地面効果の最大の恩恵は「少ないパワーでホバリングができる」ことです。これにつきます。

ヘリコプターの飛行規程には気圧高度と外気温の関係からホバリングが出来る高度および重量がわかるチャートが必ず入っています。

これはIGEとOGEの2パターンあります。

下の図はAS350Bの飛行規程に記載されているチャートです。左がIGEで右がOGEです。

例として以下のような条件で性能を出してみました。

気圧高度0ft、外気温50℃(現実的じゃないけど…)
ピンク気圧高度10000ft、外気温10℃

まずはのラインを見てみましょう。

IGEの方は外気温が50℃という異常気象下でも、気圧高度0ftであれば最大全備重量である1950kgまでホバリングできます。性能上は。

対してOGEの方は同じ条件でも1800kgまでしかホバリングできないことになります。

IGEとOGEでは150kgもの差が出ます。ヘリコプターで「150kg」の差は非常に大きいですよね。

続いてピンクですが、気圧高度10000ft、外気温10℃です。

気圧高度が高いのでホバリングできる重量は下がります。

IGEの方は1840kgですがOGEは1700kgです。

地面効果によってこれだけホバリングできる重量に差ができるんですね。

場外離着陸場を使う時も地面効果が関係する

この地面効果ですがヘリコプターの場外離着陸場を使う際にも関係してきます。

ヘリコプターの場外離着陸場の中に「特殊地域」というカテゴリーがあります。

これは地方航空局における場外離着陸許可の事務処理基準に書いてあります。

「特殊地域」とは山岳地、農地その他離着陸経路下に人又は物件のない地域における場合であって、次に掲げる条件を全て満たすものです。

  • ヘリコプターを使用しなければ業務の遂行が不可能又は著しく困難であり、業務を行う者以外が搭乗しない運航であること。
  • 地面効果外ホバリング重量の95%以下の重量で運航すること。
  • 操縦士の資格は、定期運送用操縦士又は事業用操縦士であること。

②の条件のところに「地面効果外ホバリング重量の95%以下の重量で運航すること」というのがあります。

地面効果外なので、IGEよりも厳しい条件でホバリングできる重量の95%以下ということです。

特殊地域の場外というのは、進入進出の方向が1つしかなかったり周りに障害物があり非常に狭いような場所です。

場外の中でもかなり厳しい場所です。

従って安全性を少しでも上げるためにこのような条件がつけれています。

余談でしたが参考になればと思いました。

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